> > おーい > > あけておくれー > > あんちゃんだよー > > おまえのあんちゃんがかえってきたよー > 8年前に死んだ兄は今でも私の家のドアを叩く。 > 私はくぐもった不自然な声を聴かぬよう、 > ヘッドホンで音楽を大音響を流し、 > 鍵を八つもつけて、 > 十字架や線香を握りしめてガタガタ震えながら夜を明かすのだ。 しかし兄は怯える私を嘲笑うかのように扉をすり抜け、 ゆらゆらと、死に絶えた太陽のような蝋燭の明かりに 照らされた部屋を、音もなく移動する。 震える私の耳元で 「どうしてまだ生きて居るんだ」 と呟き、背中に屹立した肉塊を押し当てる。 「あぁ・・」 今晩も逃げられない。 精神と離反した肉体は喜びの腸液を滲ませる・・・ 参考:2011/01/13(木)20時26分42秒