2011/02/21 (月) 11:41:32        [qwerty]
○さて、韓非子の中には「亡徴」という有名な編がある。「国が亡びるきざし」を47項目列挙したもので、
これはもう現実の方がよっぽど進んでいて、あんまり洒落になりません。

(2)君主が法による政治を軽視して策略に頼り、その結果、内政の混乱を招いて、外国の援助にすがろうとする。
このようなとき、国は亡びるであろう。

(8)君主がぼんくらで無能、何事につけ優柔不断で、人任せにして自分の考えというものがない。
このようなとき、国は亡びるであろう。

(11)君主の人物が薄っぺらで簡単に本心を見透かされ、またオシャベリで秘密が守れず、
進化の進言内容を外に漏らす。このようなとき、国は亡びるであろう。

(12)独善的で協調性がなく、諫言されればむきになる。国家全体のことを考えずに軽率に動き、
しかも自信満々である。このようなとき、国は亡びるであろう。

(19)国が弱小であるのに、尊大にふるまい、強国を警戒しない。国境を接している大国をバカにして、
礼をもって対しようとしない。自国の利益しか眼中になく、およそ外交ということがわからない。このようなとき、国は亡びるであろう。

(27)都合が悪ければ理屈をつけて法を曲げ、何かにつけ公事に私情をさしはさむ。
その結果は朝令暮改、次から次へと新しい法令が発せられる。このようなとき、国は亡びるであろう。

(31)視野が狭くてせっかち、些細なことで簡単に行動を起こし、すぐにカッとなって前後の見境いがつかなくなる。
このようなとき、国は亡びるであろう。

○この手の「きざし」をいっぱい並べた上で、韓非はこう結論する。
「亡徴とは必ず亡ぶと云うにあらず、その亡ぶべきを言うなり」。
木が虫に食い荒らされたからといって、かならずしも倒れるとは限らない。
しかし強風が吹いたり大雨が降ればどうなるかわからない。

そして「大国の君主が法術を身につけて、亡徴のあらわれた国々に、強風を吹きつけ大雨を降らせるならば、
天下を併呑するのはいともたやすいことである」