2011/03/04 (金) 21:08:51        [qwerty]
「まどか、君はエントロピーっていう言葉を知ってるかい?」 
「簡単に例えると、焚き火で得られる熱エネルギーは、木を育てる労力と釣り合わないってことさ」 
「エネルギーは形を変換する毎にロスが生じる」 
「宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方なんだ」 
「だから僕たちは、熱力学の法則に縛られないエネルギーを探し求めて来た」 
「そうして見つけたのが、魔法少女の魔力だよ」 
「僕たちの文明は、知的生命体の感情を、エネルギーに変換するテクノロジーを発明した」 
「ところが生憎、当の僕らが感情というものを持ち合わせていなかった」 
「そこで、この宇宙の様々な異種族を調査し、君たち人類を見出したんだ」 
「人類の個体数と繁殖力を鑑みれば、一人の人間が生み出す感情エネルギーは、その個体が誕生し、成長するまでに要したエネルギーを凌駕する」 
「君たちの魂は、エントロピーを覆す、エネルギー源たりうるんだよ」 
「とりわけ最も効率がいいのは、第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移だ」 
「ソウルジェムになった君たちの魂は、燃え尽きてグリーフシードへと変わるその瞬間に、膨大なエネルギーを発生させる」 
「それを回収するのが、僕たち、インキュベーターの役割だ」 
「この宇宙にどれだけの文明がひしめき合い、一瞬ごとにどれ程のエネルギーを消耗しているのか分かるかい?」 
「君たち人類だって、いずれはこの星を離れて、僕たちの仲間入りをするだろう」 
「その時になって、枯れ果てた宇宙を引き渡されても困るよね?」 
「長い目で見れば、これは君たちにとっても、得になる取引のはずだよ?」