小学校にもいかず、毎日ずっとネットから世界を見てた。 己の無力さだけをドクターペッパーで胃の中に流し込んで生きてきた。 知ってるかい?今現在この地球上では3.6秒に1人の割合で、子供が貧困のために死んでいる。 実はそれはぼくのせいなんだ。もしぼくに十分な資産があり、 食料生産ラインがあり、流通経路があれば、ぼくは餓死する子供を救えたはずなんだ。 貧困問題を憂えているわけではないよ、ぼくは聖人じゃない、繰り返すが可能性の問題だ。 僕はそういう風にして、時間をかけて自分の無力さを確かめた。具体的に言えば八年くらいかな。 これほど無力なぼくが世界に対してなにを為せるのかを、知りたかった。たとえば無力に死んでいく 人たちをどうにかできるのか。あるいはなにもできないのか。 限界を感じたので家も出た。家から逃げ、無力さから逃げ、ぼくの無能さゆえに失われ続ける 世界から逃げ…それでも答えは見つからなかった。だからぼくは探偵になることを選んだ。