2011/09/05 (月) 17:08:52 ◆ ▼ ◇ [qwerty]…千和の目は自然とミルキィホームズ勢の四人に惹きつけられた。
一人は明らかに経験を積んだ猛者だった。
一人は明らかに警戒すべき臭いだった。
一人は明らかにスーパーヘビー級だった。
だが、千和は最後の一人に目が釘付けとなる。この顔付き。まるで若い頃の…。
「沢城を思い出すだろう? うちの新人、佐々木未来だよ」
声をかけてきたのは、元ブロッコリ社長にして、現ブシロード社長―――木谷高明だった。
あの運命の公開オーディションで沢城みゆきを見出した男だ。
「木谷さん、彼女と闘らせてください、なんなら今でもいい」
「五年早い。君たちのルールではまだまだ素人だ」
「五年もしたら、木谷さんの会社、また無くなってますよ。それに、彼女、戦歴十年って顔だし、百人は殺してる目をしてるじゃないですか」
「確かに…他のリングの経験はある。オーディションで四千人は屠っている。だが佐々木はまだ十代なんだよ」
それを聞いて千和は思わずため息をつく―――そんなところまで沢城似か、と。
(月刊『秘伝』 連載「猛禽と鳳雛(ひなどり) -斎藤千和外伝II-」より)