2011/12/23 (金) 03:05:14        [qwerty]
 昔、バルドラという野原に一匹のサソリがいた。
  そのサソリは小さな虫などを殺して食べていたという。
  そんなある日、サソリは一匹のイタチに遭遇し、食べられそうになった。
  必死に逃げて逃げて…ついに押さえつけられてしまう。
  けれども、死力を振り絞り、近くにあった井戸へと飛び込んだ。
  しかし、サソリは元来泳げるものではない。
  あっという間におぼれてしまった。
  そのとき、サソリは水の中でもがきながら、こう神に祈ったと言う。
  ――ああ、私は今までいくつもの命をとったかわからない。
  そしてその私が、今度はイタチに捕らえられようとしたときは、あんなに一生懸命に逃げた。
  それでもとうとう、こんなになってしまった。
  ああ、何にも当てにならない。
  どうして私は私の体を、黙ってイタチにくれてやらなかったのだろう。
  そしたらイタチも、一日生き延びただろうに。
  どうか神様。
  私の心をご覧下さい。
  こんなに虚しく命を捨てず、どうかこの次には、まことのみんなの幸せのために私の体をお使いください――