2012/04/07 (土) 18:43:50 ◆ ▼ ◇ [qwerty]○ 僕と貞元くんと前田真宏の「ナディア」窓際族で、窓際版最終回を考えた。第7回「バベルの塔」が伏線になっている。
○ どうやってガーゴイルを救うかが一つのテーマだった。主人公であるジャンは言うに及ばず、
ネモやナディアは放っておいても絶対に救われる。ガーゴイルの魂の救済を描きたかった。
○ しかし、僕たち実際族の思いとは裏腹に、「ナディア」最終回はどんどんキャラクターショーになっていった。
でもそれが面白い。庵野は予算的にも時間的にも不利な状況で、しかも「チェス型」のキャラ配置という理由から
動かせるキャラが制限されていく中、よくこの最終回を作った。
○ 僕達「ナディア」窓際族、というかガイナックス負け組で考えた最終回はキャラの魅力よりも
物語の決着をつけることに主眼を置いたものだった。
○ ガーゴイルを倒してから○年後の1903年、ナディアはニューヨークで新聞記者をやっている。
これはナディアというキャラが持っていた正義感を反映したもの。
○ 一方、ジャンは飛行機による大西洋横断を成し遂げる。ジャンは清く正しい科学を標榜するキャラであり、
それについては第一話から布石を打っていた。ジャンはニューヨークで出迎えたナディアにプロポーズする。
○ その後、舞台は1945年に飛ぶ。ジャンとナディアは老夫婦になっている。ナチスドイツに蹂躙され、
廃虚となったパリでラジオを聞いていると、日本の広島に原子爆弾が投下され、大きな光が観測された
というニュースが入る。これでファシスト達は完全に滅び、戦争が完全に終わるのだと周囲が喜ぶ中、
ジャンは人類の科学がガーゴイルの科学に、機械化された人間がケーブルを垂らしながら歩くような科学に、
一歩近づいたことを感じる。
○ 科学の明るい面しか知らなかったジャンが、第15回のフェイトさんの死や機械化された
ナディアの兄といったものを通して科学の暗黒面を知るも、ネオアトランティスとの戦いの後は自分達の体験を
隠すことで人類の科学が暗黒面に触れないようにしていたのだが、この段になってついに人類の科学が
暗黒面に到達してしまった、というのをやりたかった。
○ その後、ジャンが呆然と佇んでいると、ナディアに「あれはできたの?」と尋ねられる。
二人で屋根裏部屋にいくと、そこにはピカピカに輝くロケットがある。若返ったナディアとジャンがロケットに乗って
宇宙へ飛んで行く……。これは「おたくのビデオ」のラストシーンのプロトタイプになった。
○ このラストのプロットを庵野くんに話すと、悩みに悩んだ。「やれるだけやってみますか」
という言葉を残して作ったのがあの最終回になる。