「きいたなァ……」 「鉢が割れちまって、そこから指が入るんだ……」 「指先に、脳味噌が触るのが分かるぜ」 「こいつはどうも、いけねえや……」 「あと一回だな……」 「あと一回なら、やれる……うん、うん」 「まだ、身体が動くうちは、やらなきゃならねえ」 「意識があるうちは、おれはやるよ」 「だからよ、次の一回で、おれを楽にしてくれや」 「仮にさ、死んじまったって、おらあ、おめえさんを恨みゃあしないぜ……」 「この一発だ……」 「この一発が、おめえさんに当たるか当たらねえか。おれの勝負は、もう、そこだけだ……」 「もう、十秒ももたねえ。行くぜ」