2013/11/04 (月) 02:09:17        [qwerty]
角膜に放射状に切り込みを入れて角膜のカーブをゆるめるという手術を,世界ではじめて実施したのは
実は日本人で,順天堂大学の佐藤先生という人であった。はじめは円錐角膜という病気の治療のために実施し,
後に近視矯正のために実施した。1950年頃のことだ。しかしその手術を受けた患者のほとんどは,
後になって目が見えなくなったという。

佐藤先生は角膜の表面に切り込みを入れるだけでなく,角膜の内側にまでメスを突っ込み,
角膜の内側からも切り込みを入れるという芸当をやってのけたのであった。「なぜ,内側にまで…」と思わずにいられないが,
実際これが失敗の原因だった。角膜の内側の面にある細胞は,角膜が吸った水を吐き出させる役目を持っているのだが,
これを破壊してしまったために角膜が吸った水を吐き出せずに水ぶくれを起こしたのである。

この失敗によって日本では近視矯正手術は封印されてしまったそうだ。もしあの時佐藤先生が,
手のかかる角膜内面にわざわざ手を加えず,角膜の表面だけにアッサリと切れ込みを入れていたのなら,
近視矯正手術は日本を中心に発展していたかもしれない。その後近視矯正手術の研究の中心はソ連に移った。