人はみな頂上の雄大な景観 或いはそこに到達した先人の達成感に憧れて山を目指す ある者は到達ルートを念入りに調べ ある者は身分不相応なほど装備に金を使い 登山ルートの入り口に意気揚々と立つ まるでもう頂上が見えたかのような煌きと希望に満ちて だがそれもすぐ終わる まもなく道は徐々に険しくなる ひたすら同じような険しさが続く 1人また1人と無言で立ち止まり引き返す ある者は自分の位置を知り愕然とする まだほんの序盤なのかと そして彼もまた引き返す 気がつけば誰もいないのである そして彼らはそのことを忘れ また新たな山を目指すのである 今度こそと