>  2005/12/02 (金) 08:04:44        [qwerty]
> > これ作ってる奴は脳が腐ってるんじゃないのか(;´Д`)
> アニキのあったかーい援助、待ってるよ
> って伝言ダイヤルで残したらオタがばんばん殺到しそうだな

次はあたしのお話だよ。アニキ!

毎年、こんな強い風の吹く季節は 遠くの国の砂漠から 風に乗って黄色い砂がやってくるんだよって
あの人は あたしの手をとって そう教えてくれた。
ほんのちょっぴりだけ舐めた指先には きらっと光る 金色の砂が一粒 付いていた。
あれから毎年 こんな風の吹く日は こうして 家の前に立って 独り ぼーっと待ってしまいます。

あの人 あたしのお祖父さんは 町で ちょっぴり有名な 発明王だったの。
あたしはいつも 優しいジジが大好きで ラボに入り浸ってたっけ。
いつも着ているちょっぴり油の付いたツナギも 長く伸ばしてる真っ白な御髭も
笑うと 皺いっぱいのほっぺも みーんな大好きで いつも ジジに纏わり付いてたの。
あたしが初めてメカに触ったのは ジジのラボだった。
「これなら 好きに弄っていいよ」って 貰ったガラクタを 組み立てたり 壊したり。
色々弄って遊んでる内に メカが動き出すようになったの。
「こりゃぁ 案外才能あるかもしれん。」「すごいなぁ。鈴凛。」
ジジとアニキにいっぺんに褒められて とっても幸せ。
大好きなアニキの手 シワシワだけど 素敵なジジの手。
それが遠くて遥かな 優しい思い出。

ジジはその後 あたしの家にも あたしが使える ミニチュアのラボを手配してくれた。
「一年に一度位(ぐらい)の方が 成長振りが 良く分かる。どんな物が創れるようになったか 楽しみじゃのう。」って。
あたしは ジジの手をとると 急かしてラボへと案内した。

それは 毎年続いた…お祭り。
それがちょうど こんな風の吹くころだった…。
あたしが家の前で待っていると 強い風に煽られた 黄色い砂の舞う向こうに 小さな ジジの姿が 微かに見えてくるの。
今でも…こんな風にして待っていると… 鈴の大好きだったジジが 現れてくれそうな…気がするの。
もう二度と 再び来る事の無い あたしの大好きなお祖父さん。
「ジジ…。あたし、来てくれないと…、涙がでちゃうよ。」
「あっ!」
「アニキ!」

「鈴。 これからは ジジの代わりに 僕が鈴をみてやるからな。」

アニキは あたしがこうして待ってるわけを まるで知らないみたいに 笑ってくれる。
「えへっ。今日はね、ちょーっと特別な研究の 資金援助をしてもらおうかと思って、アニキが来るのを見張ってたんだぁ。」
「あははっ。」
あたしは アニキが逃げない内に 急かして ラボへと連れ込んじゃった。
そしてね 聞こえないくらい小さな声で これだけは言ったのよ。
「アニキ 来てくれてありがとね。」
アニキ 聞こえたかな。

参考:2005/12/02(金)07時50分51秒