少子化が進みこのままでは人類滅亡とまで危惧されるようになってから、子作りの方法が大幅に変わった。政府 の肝煎きもいりで、腹を痛めずにどんどん子どもを作れるシステムが大々的に稼働しはじめた。たくさん産んで、 その中から優秀な子だけを社会に送り出す。できが悪い子には小さな部屋をあてがって一生ネットとゲームだけ やっていてもらう。それなら、邪魔にもならないし消費も少なくて済むというわけだ。 「人間もネズミみたいに数打ちゃあたる方式で増えるようになったってことだな。けどネズミや虫や魚の場合、 敗者は天敵のえさになったりして生態系に貢献している。オレ達は価値がないのに生き続けている。そこが不思 議なところだ。生殖能力は肥大化しているのに、適者生存のフィルターがない。だからやみくもにただ個体数が 増えていく。そういう場合、自然界の動物達はどうしてきたのだろうな」