2014/12/14 (日) 16:10:29 ◆ ▼ ◇ [qwerty] カウンターで隣り合わせた男は同じカクテルを何杯も飲み干しては,
「楽なもんだ」とつぶやいている。
「失礼ですが、何の商売ですか」
「選挙関係。若者の投票を調整している」
という。
「調整?」
「若い連中を投票所に行かせない、工作をしている」
酔いのせいか男は冗舌である。
「選挙の行方は二十代が握っている」
その通りだ。
衆院選の二十代の投票率は、一九九〇年の57%を最後に五割に一度も届いていない。
ずっと三、四割だ。前回二〇一二年は37・8%で、六十代74・9%に遠く及ばない。
「要するに二十代がいつも通りに投票しなきゃ、この世界はオレたちの思うがままなのさ」
そう言って、また飲む。
「今回は簡単だったな」
寒い上に忙しい季節。事前調査で有権者の傾向もはっきりしている。
「二十代では選挙に行く方が少数派なんだよ。ありがたいことに」
30%を切れば、「アモン」なる人物がボーナスを出すという
それは、悪魔じゃないか。
「今の二十代は考えているよりもずっとまじめだよ。三割を切るなんてあり得ない」
男は笑う。
「そうかな。投票日は天気も悪そうだよ…。まあ一杯飲めよ」
同じカクテルを勧める
「ラムとコワントローとレモンジュース。この世界では、『XYZ』というそうだな」
「アルファベットの最後。世界は終わりっていう酒だ」
幸い、そこで目が覚めた。