「京子さん、嬉しくて泣いているのですか。そうです、いよいよ敵 アメリカを根こそぎやっつける時が来たのです。偉大なる科学者 の夢はついに実現せられたのです。戦争を一挙に終局へ導く偉大 なる力が、今われわれの手に握られたのです。五か所の代表的航 空機工場が、すでに五十嵐機の製作に着手したということです。 今から数ヶ月後には、何百何千の超高速爆撃器が完成せられるの です。そして、それが太平洋を一瞬にして飛び越す、無数の砲丸 となって、ニューヨーク・ワシントンの空を暗くし、敵都の高層 建築物を片端から破壊する日も遠くないのです。敵策謀の本拠白 亜館(ホワイトハウス)が大統領もろとも木葉微塵になって飛び 散る日が、もう目の前に近づいているのです」