私はただの農夫だ この歳になるまで城下を出て行ったこともない 両親はとうの昔に亡くなり 来る日も来る日も農作業に明け暮れ 僅かばかりの酒とたまに来る見世物が楽しみだった そんな生活に嫌気がさしていたが それから逃れる術もなかった ある日山奥で勇者と思しき若者が倒れているのを見かけた 彼は瀕死の傷を負っていた 顔を見て驚いた 私と瓜二つなのだ 私は彼を救おうかと思ったが別の考えが頭をよぎった 彼はやがて息絶えた 私は彼を土深く埋め 彼の持ち物を身につけた