2015/10/31 (土) 23:23:18        [qwerty]
十年一昔と申します。今を去ること10年前、「姉歯事件」というものがありました。

格安マンションを作るための構造計算書の偽装が発覚したことで、2007年6月に建築基準法改正が行われました。
第3者機関による構造審査が義務づけられたり、建築確認の審査期間も延長されたりしました。

その翌月からは、住宅着工件数が大幅に落ち込んでしまいました。それも奈落の底に落ちるような減り方でありまして、
長年エコノミストをやっておりましても、これだけ急激な変化のグラフは滅多に見たことがない、という種類のものでした。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2007/10kaigi.pdf
の中の7ページ目「住宅の動向」をご覧あれ。
これを見た時は、「なんという馬鹿なことをやったものか・・・」と思って絶句したものであります。

今回の横浜のマンションは、2007年12月に完工しているのだそうです。タイミングから考えると、
同年6月の法改正直前の「駆け込み」で杭打ち工事が行われた公算が高い。
「もうすぐ厳しくなるから、今のうちにやっておけ!」ということですね。

今後、中古マンション市場では「2006~07年に建てられた物件は怪しい」ということになるかもしれません。
その一方で、おそらく今回の事件を機にまたまた建築規制は強化されることでしょう。

そうなると、再び法改正の直前に手抜き工事が駆け込みで行われるのではないでしょうか。
なんとも不毛ないたちごっこ、であります。