2006/01/11 (水) 22:55:50        [qwerty]
「創(つくる)」2月号の特集は毎年恒例の「出版社徹底研究」です。
出版業界の展望、大手出版社の状況分析と続く記事の最後に、「書店業界の
研究」として埼玉県行田市の商店街にある小さな本屋の話が載っています。
商店街全体の沈下による客離れ。欲しい本は入らないのに必要ない本は届
く。そのことによって増える返品作業の増加。悪化する資金繰り。
中小書店、それも地方の書店からは底なし沼に足をとられた叫びのような声
が耳に入ってきます。
自分の店はたまたま都内の駅前という恵まれた環境にありますが、沼には片
足つっこんでいます。
できれば抜きたいと思っていますが、完全に抜くのは無理でしょう。
なるべく両足をとられないように、日々奮闘するだけです。

しかし最近になってわかったことは、たとえ大型書店であっても現場で働く
人は別の沼に足をとられているようだ、ということです。
長時間の労働、休みはほとんどなく、収入はごくわずか。
業界の成長性や将来性も暗く、今の収入では家庭を養えるかもわからない。
売上は下がっても課せられるノルマ、増える一方の万引き。
彼らの話からも、明るい未来は見えてきません。

結局多少景気が良さそうなのは、大手出版社、大手取次、大手書店グループ
の一部幹部のみじゃないか。
そんな気すらしてきますが、他人を責めたところで自分の境遇は変わりませ
ん。
なにしろ時代は「下流社会」、たぶん他業界でも似たような話はあることで
しょう。

そんなことより、新しい本屋とはどんな本屋なのか。
どんなことをやったらいいのか。
日々それを考えている毎日です。