2006/01/14 (土) 23:14:11        [qwerty]
漁師が三人 
西の海へと漁に出た
日が暮れるなか 西の海へと     
愛情あふれる
妻のことを思いつつ
子どもが
出港を見送るなかを

夫は働き 
妻は泣くしかない
皆を養うには 
稼ぎが足りないから
入江の浅瀬がうめいていても

三人の妻は 
灯台で寝ずの番を始めた
日が暮れるなか 
灯火を強めつつ
だが 
彼女たちが見たのは暴風雨
夜 岸に打ち上げられたのは
難破船

夫は働き
妻は泣くしかない
底なしの海で
嵐が急襲しても
入江の浅瀬がうめいていても

砂浜に 死体が三つ横たわっていた
夜が明け
潮が引き始めると
妻たちは
手をもみしだいて泣いた
二度と
戻ることのない夫を思い

夫は働き
妻は泣くしかない
はやく済めば 
はやく眠りにつける
不吉にうめく浅瀬に別れを告げて