漁師が三人
西の海へと漁に出た
日が暮れるなか 西の海へと
愛情あふれる
妻のことを思いつつ
子どもが
出港を見送るなかを
夫は働き
妻は泣くしかない
皆を養うには
稼ぎが足りないから
入江の浅瀬がうめいていても
三人の妻は
灯台で寝ずの番を始めた
日が暮れるなか
灯火を強めつつ
だが
彼女たちが見たのは暴風雨
夜 岸に打ち上げられたのは
難破船
夫は働き
妻は泣くしかない
底なしの海で
嵐が急襲しても
入江の浅瀬がうめいていても
砂浜に 死体が三つ横たわっていた
夜が明け
潮が引き始めると
妻たちは
手をもみしだいて泣いた
二度と
戻ることのない夫を思い
夫は働き
妻は泣くしかない
はやく済めば
はやく眠りにつける
不吉にうめく浅瀬に別れを告げて