> 2006/02/10 (金) 04:31:05 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> 捕虜百人か2百人かに1人の割合で,日本兵がつき添つてゐるのだが,
> 彼の顏はくすぐつたさうな當惑に滿たされてゐる.勝利の快感が彼を滿足
> させてゐるにちがゐないが,彼は,今度こそはお目にかかると思つたアメ
> リカ兵が,あまりにも莫大の數で,自分がその洪水の中に流されてゐる木
> 片ででもあるやうなのが,なんとなく照れくさいのである.
> 彼は米兵の肩くらゐまでしかない.おまけに,陽に灼け,軍服も帽
> 子も埃と汗でぼろぼろ,軍靴も口をあけてぱくついてゐる.すこしも汚れ
> てゐない米兵の垢拔けした服裝の中にまじると,まるで,乞食だ.
> しかし,彼は今や勝利者として絶對の權力を持つてゐる.巨大漢の
> 群集は矮小な日本兵の自由になる.
> 危險な優越感がかういふときに人間を歪めるのである.
> 戰爭の中には正義も人道もありはしない.ただ強弱と勝敗があるだ
> けだ.
> それは絶對のものであつて,戰場のデカダニズムの最大の要素とな
> る.
> 「おい,歩け歩け」
> といふとき,1等兵は將軍のやうな氣持だ.
バタンキュー死の行進を思い出した
参考:2006/02/10(金)04時28分09秒