2006/03/25 (土) 11:05:54 ◆ ▼ ◇ [qwerty]総統は、禁断のボタンに手をかけ、
対テロ部隊「ケルベロス」を巻き込み自爆して果てた。
爆心地には、すでに、後には何も残されていない。
序章
かつて勇者リナスは、
魔王を打ち滅ぼし世界を救ったという。
そして、いつの日か蘇り、再び世界を救うために……
異世界で眠り続けているのだと人々は語る。
すでに神話となってしまった、遠い古代の物語。
世が乱れる度に、人々は勇者復活を願ったが、
リナスが、この世界を再訪することはなかった。
混乱の収拾とともに、
勇者の噂は人々の記憶から消えていったのである。
そして現在。
1000年太平を誇った大帝国の崩壊とともに、
再び世界は混乱の渦に巻き込まれていった。
かつて見られないほど魔族の活動が活発になり、
人々は魔王の復活を噂していた。
そして……
第一章 勇者の戦い。
「封印は解けぬのか? こやつの力に頼るしか」
「ダメです。我々が持つファイル力だけでは……」
「かつて勇者は、魔族が持つファイル力をも
吸収し、数々の奇蹟を起こしたというが……
勇者のようにはいかぬわ」
「一匹も倒せてないし……
逆に、こちらが吸収されそうです!」
長老に付き従う青年がへたれて言う。
街は異形の怪物の襲撃を受けていた。
「馬鹿者! 希望を捨てるな!
かつて勇者を守護したというこやつの
封印さえ解ければ、街は救われるのじゃ!
さ、皆よ、力を集中しろ! もう一度ゆくぞ!」
度重なる失敗にもめげず、街の長老たちは
岩に埋もれた一人の少年の前で、
最後の力を振り絞って呪文を唱えた。
瞬間、辺りが光に包まれる。
「やったのか?」
長老は少年に目をやったが、何の変化もない。
「長老、やはり我々生来のファイル力では……」
気だるく目覚めた朝に、大音響が響き渡る。
異形の化け物が繰り出す、
破壊の波動が目の前の街を粉々に砕いていた。
彼女は、瞬間、敵と認識した。
手に握られていたH&K MP5を化け物に向け、
引き金を絞る。
大量のパラベラム弾が化け物を捕らえた。
「てめェ、魔王軍先遣隊のオレ様に……
まさか、お前も転移者だと……ブヘ……ゲ」
飛び散る、毒々しい緑の液体。
ほぼ全弾が命中し、化け物は体液を失って事切れる。
怪物からファイル力が離脱し、少女に吸い込まれていく。
「なにものじゃ、あの娘は……」
長老は魔王軍を倒すその娘に目を奪われる。
「長老……あの娘、魔族と対等に戦っていますよ!」
「あの奇妙な武器……そしてあの着物……」
激しい戦闘の中、彼女の放つ弾丸が幾つか逸れて、
少年を直撃した。
「痛てェ! オレ様にこんなものぶち込んだのは
どこのどいつだ! お前らか? あー?」
突然目覚めた少年はギロリと長老をにらんだ。
「ちっ……ちがいます! 滅相もないです」
長老と一緒にいた青年が、必死で否定した。
蘇った勇者の仲間は、何か凶悪な雰囲気を醸し出す。
「エンオウの封印が……解けた……だと」
「ジジィ……テメェ、誰だ」
「エンオウよ……勇者を守護し、魔族を討ち滅ぼすのじゃ」
「魔族か、目覚めてみれば鬱陶しい、あいつ等が
やりやがったんだな! クソヤロウ! ブチ殺ス!」
エンオウは街を襲う魔族へと向かっていく。
「かつて人につき、人に裁かれ封ぜられた哀れな人魔が
なめるな!」
魔族のボスがエンオウと激しい戦いを繰り広げた。
成り行きで戦い始めた少女と蘇った守護者エンオウは、
侵略してきた魔族の大部分を殲滅することに成功する。
街はひとときの平穏を取り戻した。