2006/03/25 (土) 11:06:29        [qwerty]
第二章 勇者の旅立ち。

長老の話から、
少女は、この世界が元の世界と全く異なることを知る。
街では復活を祝う宴が催され、
住人は勇者の再来だと少女をもてなしたが、
彼女は、そうじゃないといった。
人々は不思議そうな顔をしていたが、何故か沈痛な面持ちで
「あの時……まずいことになった」
と呻き、後は黙して語らなかった。
少女は知っていたのだ。あの瞬間の出来事を。

主役不在のまま宴は夜中まで続き、そして夜が明けた。
住人が二日酔いで起きた街に、少女の姿は無かった。

「仲間……そして……」
「探さないと……」少女は一人呟く。

未知の世界に旅立ち、街から続く道を歩いていると、
少女は魔族の援軍に遭遇した。
彼女が殲滅した連中の代わりに派遣されたのだろう。
……魔王について情報収集するのに好都合。
そう考え、魔族の部隊に近づくと、いきなり攻撃されてしまう。
が、当たらない。すばやい動きでかわすと、
その手にはMP5が握られていた。
既に、魔族の間で彼女は敵と認識されているらしかった。
もっとも、人間なんてみんな敵だということかもしれないが。
「問答無用か……
私も容赦しない」すばやく安全装置を解除。
彼女のマシンガンが火を噴き、魔族の前衛をなぎ倒す。
体液があたりに飛び散る中、前進し、SMGに安全装置を掛け、
腰に装備された特殊鋼のナイフを引き抜いた。
この時点で少女は、魔族という敵を既出データを基に分析していた。
比較的人体に近く、体液を失えば絶命する……と。
弾の浪費を避けるため、ザコはナイフで始末するつもりだ。
「……」何の感慨もうかべず、敵の軟質な場所を狙い力を込める。
少女のナイフが魔族をザックリと切り裂く。
派手に流出する体液が彼女の頬を濡らしていた。

さらに、「オレもゆくぜ!」という声と共に一人の少年が乱入。
魔族に強烈な斬撃を喰らわす。
「お前は、エンオウ……」
「オレはお前の仲間だろ、リナス!」
「だからリナスじゃないって!」


「わたしの名はリセよ」
「リセ? お前リナスじゃないのか?
1000年の時が流れているのだから
当然か……」
「…………1000年?」
二人の間に一瞬の沈黙がながれる。
「オレの眠りを覚ましたお前……
実力、そして容貌すら……
共に戦えば分かるはずだ」
「今は目の前の敵を叩き斬るのみ!」
「伝説のバブルは必ず蘇る! 勇者よ今が旅立ちの時だ!」
「ハア? 何の話ヨ ㈱番しか見ない人は……」
「素早く魔族を討ち倒し、ファイル力を吸収する」
「伝説によれば、この世界にあるという設定の地には、
いきなり開始する秘法があると聞く!」
「が、使わん方がいい場合もある」

「伝説のファイル、それは……
この世界とは異なる、始まりの地にあるという……
たしか[ebot_ser.ini]……だったはず
伝説ではこれを書き換えることができた者は
さらに強力なファイル吸収力を得るというが……」
長老がそう語っていたのを思い出した。
違う世界じゃ見つからない気もする。
リセはなんとなくそう思った。
「魔王様以外にこれほどの力を持つ者が……」
ファイルエネルギーがわたしの中に!
「そこをどいて! 邪魔するなら、この咆哮を……」
「そこをどいて! 邪魔するなら、この咆哮を……」
「そこをどいて! 邪魔するなら、この咆哮を……」
「……私は、まだ負けていない! まだ戦える!」
「魔族がテロリストよ」
「そこをどいて! 邪魔するなら、この咆哮を……」
「そこをどいて! 邪魔するなら、この咆哮を……」