>evaluly 2006/03/28 (火) 00:30:16 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> きたよぉヽ(´ー`)ノhi-ho
「今夜、お前のことを考えて……眠れなくなりそうなんだ……。」
柴垣がもう1度呼び止める。
自分もエレベーターの方に歩み寄り、葦田の腕を後ろから掴んだ。振り向きかけた相手
を、強引に脇にある壁に向かってドン、と押し付ける。「ギシッ」という、相手のスーツ
の背中が壁と擦り合う、軋んだ音がした。
「まだ用でもあるのか!?」
悪意のある目を、葦田は返した。
この状態が、あのセックスとまったく同じであることを分かっている目だ。
「俺に触るなよ……。大声を出してもいいのか?」
「出せよ……。出せるもんならな。」
そのまま数秒間、2人は無言で互いを見つめ続けた。
先にこの気まずい雰囲気を破ろうとしたのは柴垣だった。
「葦田、お前に話があるんだ………。」
いまさら、どんな言葉で取りつくろうと言うんだ? 内心で、柴垣はそう思っていた。
「悪いが聞く気はないぜ。またにしてくれ。」
どうやら、相手も同じ気分らしい。
「随分冷たい言い方だな、葦田。」
「冷たい? 筋違いな言葉だな。お前にとっては俺が冷たく映るのか?」
「悪かったぜ……そういう意味じゃないんだ。だがお前のことを考えていたのは本当だ。
信じてくれ。」
「どんなふうに…!? もっと殴りたかったかい?」
「もし、そうだと言ったらどうする? ……驚くか? それとも……。」
「予想通りの答えだな。」
葦田が鼻で笑って言った。
「そう言われて当然だろうな。だがもう1つあるんだ。お前に言いたい言葉が……。それ
を聞いてくれないか?」
相手の灰色がかった目を、柴垣はじっと覗き込んだ。
「もう1つ……!?」
「ああ。」
「考えたくもないぜ。やめてくれ。」
「なぜだ……。聞くのが怖いのか?」
「怖い…!?」
葦田は眉を歪めた。だが彼の目には、明らかに負の色が漂っていた。
参考:2006/03/28(火)00時25分23秒