> 2006/04/07 (金) 18:54:27 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> 今ニュースで一瞬流れたんだけど割り箸事件というのは
> ケツで割り箸を折ったらケツに刺さったんで割り箸メーカーを訴えたって事件なのかな?
「何したんや!?」
「何も」
ちよちゃんは答えた。
「技さ」
「技やて!?」
「技術だよ」
「な、な──」
大阪は、言葉にできない声をあげた。
「何がおこったか大阪さんにはわからんだろうが、これは神秘な力でもなんでもないよ」
「──」
「これは技術さ」
「技術やて?」
大阪は、歯を噛みながら、割れた割り箸を見つめていた。
息をするのさえ、忘れてしまいそうであった。
割れるのか。
そう思う。
ただの割り箸が、ここまできれいに割れるのか。
できるのか。
やれるのか。
やれるのだと、ちよちゃんの笑みが言う。
できるのだと、手にした割り箸が叫んでいる。
さっきの自分の割り方などとは、根本的に違う。
研ぎ澄まされた日本刀で、何もかも根こそぎ断ち切るような割り方。
大阪は、それを見ていた。
膝が、がくがくと震えていた。
何か、凄まじいものが、背を駆け抜けている。背を駆け登ってゆく。
駆け登って、脳天に突き抜ける。
駆け登っても、駆け登っても、突き抜けても突き抜けても、まだ終わらない。まだ足らない。
自分の背の底に、何か巨大な力の塊が、無尽蔵にあって、それが次から次に背を駆け登ってゆくようだった。
震えるな。
震えるな。
身体の震えを、止めようとしても止めようとしても、止まらない。
なんという。
なんという。
まったく、なんというものを見たのか。
なんという割り方なのか。
今、眼の前に見たばかりのとてつもない光景。
それは、自分は、本当に見たのか。
大阪は、震える足を、前に踏み出した。
ちよちゃんに向かって。
「どうしたい、え?」
ちよちゃんが言った時、ようやく、大阪が口を開いた。
「あたしに・・・・・・」
大坂は、やっと言った。
「あたしに、割り箸の割り方を教えてくれへんか──」
参考:2006/04/07(金)18時52分06秒