>  2006/04/07 (金) 18:54:27        [qwerty]
> 今ニュースで一瞬流れたんだけど割り箸事件というのは
> ケツで割り箸を折ったらケツに刺さったんで割り箸メーカーを訴えたって事件なのかな?

「何したんや!?」 
「何も」 
 ちよちゃんは答えた。 
「技さ」 
「技やて!?」 
「技術だよ」 

「な、な──」 
 大阪は、言葉にできない声をあげた。 
「何がおこったか大阪さんにはわからんだろうが、これは神秘な力でもなんでもないよ」 
「──」 
「これは技術さ」 
「技術やて?」 

 大阪は、歯を噛みながら、割れた割り箸を見つめていた。 
 息をするのさえ、忘れてしまいそうであった。 
 割れるのか。 

 そう思う。 
 ただの割り箸が、ここまできれいに割れるのか。 
 できるのか。 
 やれるのか。 

 やれるのだと、ちよちゃんの笑みが言う。 

 できるのだと、手にした割り箸が叫んでいる。 
 さっきの自分の割り方などとは、根本的に違う。 

 研ぎ澄まされた日本刀で、何もかも根こそぎ断ち切るような割り方。 
 大阪は、それを見ていた。 
 膝が、がくがくと震えていた。 

 何か、凄まじいものが、背を駆け抜けている。背を駆け登ってゆく。 
 駆け登って、脳天に突き抜ける。 

 駆け登っても、駆け登っても、突き抜けても突き抜けても、まだ終わらない。まだ足らない。 

 自分の背の底に、何か巨大な力の塊が、無尽蔵にあって、それが次から次に背を駆け登ってゆくようだった。 
 震えるな。 

 震えるな。 
 身体の震えを、止めようとしても止めようとしても、止まらない。 

なんという。 
 なんという。 
 まったく、なんというものを見たのか。 
 なんという割り方なのか。 

 今、眼の前に見たばかりのとてつもない光景。 
 それは、自分は、本当に見たのか。 
 大阪は、震える足を、前に踏み出した。 

 ちよちゃんに向かって。 
「どうしたい、え?」 
 ちよちゃんが言った時、ようやく、大阪が口を開いた。 
「あたしに・・・・・・」 

 大坂は、やっと言った。 
「あたしに、割り箸の割り方を教えてくれへんか──」 

参考:2006/04/07(金)18時52分06秒