> 2006/04/07 (金) 18:58:49 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> > 今ニュースで一瞬流れたんだけど割り箸事件というのは
> > ケツで割り箸を折ったらケツに刺さったんで割り箸メーカーを訴えたって事件なのかな?
> 「何したんや!?」
> 「何してませんよー」
> ちよちゃんは答えた。
> 「技ですよー」
> 「技やて!?」
> 「技術ですよー」
> 「な、な──」
> 大阪は、言葉にできない声をあげた。
> 「何がおこったか大阪さんにはわかりづらいと思いますけど、これは神秘な力でもなんでもないんですよ」
> 「──」
> 「これは技術です」
> 「技術やて?」
> 大阪は、歯を噛みながら、割れた割り箸を見つめていた。
> 息をするのさえ、忘れてしまいそうであった。
> 割れるのか。
> そう思う。
> ただの割り箸が、ここまできれいに割れるのか。
> できるのか。
> やれるのか。
> やれるのだと、ちよちゃんの笑みが言う。
> できるのだと、手にした割り箸が叫んでいる。
> さっきの自分の割り方などとは、根本的に違う。
> 研ぎ澄まされた日本刀で、何もかも根こそぎ断ち切るような割り方。
> 大阪は、それを見ていた。
> 膝が、がくがくと震えていた。
> 何か、凄まじいものが、背を駆け抜けている。背を駆け登ってゆく。
> 駆け登って、脳天に突き抜ける。
> 駆け登っても、駆け登っても、突き抜けても突き抜けても、まだ終わらない。まだ足らない。
> 自分の背の底に、何か巨大な力の塊が、無尽蔵にあって、それが次から次に背を駆け登ってゆくようだった。
> 震えるな。
> 震えるな。
> 身体の震えを、止めようとしても止めようとしても、止まらない。
> なんという。
> なんという。
> まったく、なんというものを見たのか。
> なんという割り方なのか。
> 今、眼の前に見たばかりのとてつもない光景。
> それは、自分は、本当に見たのか。
> 大阪は、震える足を、前に踏み出した。
> ちよちゃんに向かって。
> 「どうしたんですか?」
> ちよちゃんが言った時、ようやく、大阪が口を開いた。
> 「あたしに・・・・・・」
> 大坂は、やっと言った。
> 「あたしに、割り箸の割り方を教えてくれへんか──」
参考:2006/04/07(金)18時54分27秒