「お姉ちゃん泣かないで。わたし……ボク、頑張るから! うぐぅ!」 手袋をはめた未来が元気に叫ぶ。 「未来、お願いだから、頑張らないで!」 「うぐぅ、うぐぅ!」 姉と違って、妹は明るいものであった。新しい世界に触れる喜びに満ちてい る。 「違うぞ。未来ちゃん、うぐぅは困ってるときに言うものだ」 「えー、そうなの?」 「そこで、えーの代わりに使うんだ」 「うぐぅ、そうなの?」 「よし、未来ちゃんは飲み込みが早いね。たい焼きを食べてごらん」 褒められた未来はたい焼きを手に嬉しそうに笑う。 「もうやめて……」 三人の戦いは8月の終わりごろに始まる。