2006/05/22 (月) 02:49:26        [qwerty]
「もうすぐ東京かしら。
 やっぱり物足りないわね」

   「確かにね。でも着く前に疲れなくて良いじゃない」

「ま、東京見物出来る時間が増えたから良いか。
 今日はどんなところを案内してくれるの?」

   「そう焦らないの。
    まずは実家に着いてから彼岸の墓参りを済ませて、
    荷物を置いてから見学に行きましょう?」

「あれ?冥界参りに行くんだっけ?」

   「東京は、京都に負けず劣らずの霊都だから、きっと楽しいわ。
    メリーと一緒なら。」

 アスファルトで固められた地霊の罪も時効を迎え、東京の道のそこら中にひびが入っていた。

 環状線も一部が草原と化し、葉っぱもなく、茎と赤い花弁だけの奇妙な花が道を覆いつつある。
人口の減少と共に、自動車という前時代的な乗り物も減っていた。道がどうなろうと不便な事
は無かったのだ。

 派手な格好の若者達が、独自のルールを形成している事が特徴的な東京。
 町奴や旗本奴、火消しが暴れる町の様に……。

 東京は昔の姿を取り戻しつつある。


   「富士が小さくなっていくわ。もう東京は目の前ね」

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