「打った瞬間、入ると思った。ついにこの日が来たかって感じですね。サイコーです!!」 3夜連続で負け試合をひっくり返した。一挙9点のビッグイニングから始まり、延長十二回の決勝弾、 そしてこの日は日本のエースを撃破した。やはり、そうなのだ。阿部の言葉を借りれば「この日」は本当にやってきた。 96年に札幌の地で始まった『メークドラマ』の再来。その“生みの親”であるミスター本人がやってきたのだから。 午後4時過ぎ。長嶋終身名誉監督の電撃訪問に一塁側ベンチの士気は最高潮に達した。 前日1日の5時間ゲームの疲労もどこへやら。「皆さん、頑張ってください」のゲキを受けた。 若手の紹介のあと「見るぞ」といい残して、つえなしで貴賓席に向かったミスター。 その背中を見届けた原監督は勇気に満ちていた。