生も死も、大人も、人間の業も、 かつてはこんなに子供の近くにあったんですね。 大人はそれらをなるべく子供から遠ざけようとしますが、 隠し切れない、ぎりぎり漏れて伝わってくる大人の価値観を、 ひとつずつ小さな頭で消化しながら人間を形作っていくものです。 だから、大人が考えるより子供は大人なんですよ。 50年前にこれほど身近にあった死生観は、 今や電話の陰に、テレビの奥に、PCの向こうに追いやられてしまいました。 日常的に隠されているものだから、 いざというとき、大人も死生観について子供にどう伝えてよいのか、 全くわからなくなってしまったのではないでしょうか。 最近の子供は何を考えているかわからないというようなことを 平気で言ってのける無責任な大人は、 その想像力を欠いた固い頭をこの映画に粉砕されるでしょう。