2006/06/19 (月) 21:11:11 ◆ ▼ ◇ [qwerty]東京タワーが100億円分の借金の担保に取られていることがわかった。東
京タワーを経営する日本電波塔の社長だった前田福三郎氏(64)がゴルフ
場開発に失敗。日本電波塔が債務の肩代わりを迫られ、タワーと敷地を担保
に銀行から借金したのだ。損失は120億円を超える。2011年度に新東
京タワーが完成すれば、現タワーの収入は激減しかねず、首都のシンボル
は、バブルのツケと未来の存在意義に頭を悩ませている。
東京タワー
東京タワーは首都圏への放送電波送信という公共の使命を担うが、日本電
波塔は純然たる民間会社。産経新聞を創業した前田久吉(ひさきち)参院議
員(当時)が各界から協力を取り付けて、1958年に完成させた。高さ3
33メートルは当時世界一。在京テレビなどから年間27億円前後の賃料が
入り、安定した経営で知られてきた。
つまずきの原因は、久吉氏の息子、福三郎氏がバブル期に手がけたゴルフ
場開発だった。
関係者の話や登記簿によると、日本電波塔の3代目社長だった福三郎氏ら
は88年、千葉県君津市にゴルフ場を建設するために「東京タワーディベロ
ップメント」を設立。91年以降は、日本電波塔の債務保証で借金を重ね、
95年にゴルフ場をオープンさせた。
しかし、思うように会員権が売れず、営業赤字も続いて借金を返せなくなった。銀行団は99年、日本電波塔に債務保証の履行を求めた。
残った債務は123億円。日本電波塔は99年12月に福三郎氏を社長か
ら解任。00年、東京タワーの敷地と建物を担保に銀行から100億円を借
り入れ、自己資金の23億円を加えて全額肩代わりした。登記簿には今も1
00億円を限度額とする根抵当権が設定されているが、同社によると、すで
に53億円は返済したという。
ゴルフ場会社は昨年9月、会社更生法の適用を申し立てられて倒産。現
在、管財人が更生計画案を練っているが、大幅な債務超過で123億円の大
部分は回収不能となる見通しだ。日本電波塔はこれを見越して、決算では1
23億円の全額を損失として処理した。
将来のライバル、新東京タワーの計画は着々と進んでいる。在京テレビ6
社は3月末、「新テレビ塔の最終候補地」として墨田区にある東武鉄道の貨
物操車場跡地を選んだ。ここに同鉄道が中心になって高さ610メートルの
タワーを建てる。新タワーが完成し、在京テレビ局などの顧客を奪われれば
大幅な収入減は避けられず、東京タワーは、非常時のバックアップの役割に
将来の活路を見いだそうとしている。
日本電波塔の前田伸(しん)・現社長は「社員寮や本体以外の資産の売
却、経営努力で返済に努めており、放送事業者や来塔者にはいささかも影響
を及ぼしていない」と説明している。