>  2006/07/04 (火) 09:21:03        [qwerty]
> > そうすると、中学の教科書に出てきたなんだっけ
> > 家族を殺した罪の咎人を離島に流す役の人が、咎人は実は殺してって言われたから殺したって話を聞かされて
> > 何が悪いかわからなくなる話みたいにややこしい事態の場合それはそれで不当な判決になるから難しいんだろ
> > イスラムの法は現代には向いてないと思う。まあ人は殺しあきるくらい増えすぎたけどね
> 殺してって言われて殺したらそりゃ罪だろう
> 他人に頼らせず自分で死なせるべき

高瀬舟だった。森鴎外
  安楽死問題には必ず取り上げられる短編で、時代は寛政の頃。
喜助という30才ばかりになる男が、弟殺しの罪で舟で運ばれる間に、身の上話をする。喜助は弟と二人で働いていたが、そのうち弟が病気となって家で寝込むようほなる。
ある日、いつものように喜助が帰ってくると、弟が布団のうえに突っ伏しており、あたりが血だらけになっていた。
「…弟は真蒼な顔の、両方の頬から顎へかけて血に染まったのを挙げて、わたくしを見まわしたが、物を言うことが出来ません。
息をいたす度に、傷口がひゅうひゅうと云う音がいたすだけでございます。」
  兄の喜助は、なんとかして事情を聞き出すことに成功する。
「『済まない。どうぞ堪忍してくれ。どうせなおりそうもない病気だから、早く死んで少しでも兄きに楽がさせたいと思ったのだ。
笛を切った、すぐに死ねると思ったがそこから漏れるだけで死ねない。深く深くと思って、力一ぱい押し込むと、横へすべってしまった。』」
  これを抜いてくれたら早く死ねると、何度も弟は兄に頼む。そこで喜助は抜いてやろうと、剃刀の柄をしっかりと握って引き出した。
間が悪いことがあるもので、その瞬間に弟の世話をしてくれる婆さんが、戸口を開け、この有様を見、あっと云ったきり表に飛び出していった。
「婆さんが行ってしまってから、気が付いて弟を見ますと、弟はもう息が切れていました。」

参考:2006/07/04(火)09時19分43秒