『あいつ、縁なしの眼鏡をしてたでしょう。それをかけていると 品がいいんだけど、喧嘩するときにはすぐはずすんです。 すると、凄い顔になる。顔見ただけでびっくりしちゃった、おれ。 物凄いんだものね。疵(きず)が、右の目の上と、左の頬と、 あごと、首筋と……もうあのころで四カ所ぐらいありましたかね。』