2006/07/29 (土) 14:24:13 ◆ ▼ ◇ [qwerty]スタジオジブリの最新アニメーション映画「ゲド戦記」の宮崎吾朗監督(39)
が20日、キャンペーンのため来岡し、自身初の監督作品への思いを語った。
原作は、魔法世界の光と闇を描いたファンタジー小説。魔法使いの大賢人ハイタ
カが、若き王子アレンとともに、世界が均衡を崩しつつある原因を求めて旅に出
る。 今回原作を読み直して感じたのは「現代に通じる世界観」だった。「少し
でも使い方を誤ればマイナス面が大きくなる魔法は、環境破壊の続く現代の科学
技術と同じだと思った」。 そこに込めたのは「今を生きる人間が、今生きてい
る人に贈る映画。時代性を抜きに映画は作れない」という強い思い。「近代文明
への危機感が原作の根底に流れる。過酷な時代にある今だからこそ、(作者の)
ル=グウィンのメッセージが現実感を持って伝わるはず」と話す。 原作は父親
である駿さんが、30年以上にわたって映画化を考えていた作品。当初は許可が
下りなかったが、駿さんの作品を見た作者が4年前、映画化の話を自ら持ち込ん
できた。 「父の偉大さとアカデミー賞の影響力の大きさを感じた。父は当時、
自分の作品(ハウルの動く城)で精いっぱいだったし、ほかの監督候補が恐れを
なして逃げたから、仕方なく僕が監督になった」と笑う。 初めて原作に触れた
10代のときと今回では「違う部分に感動する自分に気付いた」という。「以前
は〝おじさんの説教〟としか思えなかったハイタカの言葉が、今では素直に理解
できる。自分が歩んできた人生と重なり合う部分が大きいからじゃないかな」。
初監督、父との比較など周囲は騒がしいが「今のアニメ技術の9割以上は、父と
高畑(勲)さんが築き上げたもの。僕はそれを利用するだけ」とさらり。「アニ
メは今後、技術的に大幅な進歩は望めないかもしれない。でも描くものは無限大
。だからアニメに限界はない」と力強く言い切った。 「ゲド戦記」は29日か
ら、TOHOシネマズ岡南(岡山市築港新町1丁目)など、全国の映画館で一斉
に公開される。