今年も、彼女の姿を見たという。 今夜は来てくれますよ。 年に一度だけ会うことを続ける二人。 わずかな言葉を交わし、別れることを繰り返している。 ただ、と彼は言葉を濁す。 彼女、いつまでも子供のままなんです。 3回目に会った時から、ずっと同じなんです。 知ってるんです。 一気に言い、俺を見た。 邪魔しないで下さいね。 そう言って、彼は顔を対岸へ向けた。 きっと、彼の初恋なのだろう。 彼は今年も、子供のままの彼女と会うのだろうか。 俺と彼が言葉を交わした数年後、あのキャンプ場は、閉鎖された。