夕方のキャンプ場で食事を終えた。 川の両岸が、別々のキャンプ場になっている場所だ。 昨年と同じ男がいた。 たまに行く山で、毎回顔を合わせる人物というのは 少ないが、確かに居る。 ごく普通の会社員であれば、週末と連休くらいしか 山へは行かれないのだ。 スケジュールが重なったとしても、不思議はない。 互いに、昨年見た顔だとすぐ気付いた。 相手の姿を見れば、山歩きが目的ではないとすぐ分かる。 このキャンプ場が目的地だという格好だ。 彼は子供の頃から、この時期のキャンプを続けていると 俺に話した。 毎年、対岸のキャンプ場に来る女の子が目当てだと言い、 頭をかいて笑った。 10年以上にもなるらしい。