じぃちゃんのこの話は、その後もねだって2度程聞かせてもらいましたが 「絶対に内緒だぞ」と言われ、両親の居るところでは決して話しませんでした。 でも、今でも私の家には父方の実家はありません。 農家の次男のじぃちゃんが、庄屋の娘のばぁちゃんと駆け落ちしてきたからだよと、 私の両親からはそう聞いています。 じぃちゃんが私に自作の怖い話を聞かせてくれたのかとも思いましたが、多分違います。 その長い話が終わった時、 じぃちゃんは大粒の涙をぼとぼと、私の小さな手の甲に落としたのですから。