車は走る。景色を見る余裕なんてなかった。回復を祈ってひたすら眠っていた。 そんな中、物凄い震動で一回だけ目が覚めた時があった。何かと思ったら巨大な熊だった。 デカい手で車を揺らしているのだ。俺は心臓が止まりそうになるくらいビックリした。 慌ててドライバーに助けを求めようと思ったが、すでに車の中にいなかった。 外を見るとドライバーはこっちを見てクスクス笑っていた。落ち着いて 良く熊を見てみると熊には紐が付いていて熊使いのおっちゃんが操作していたのだ。 どうやらドライバーのイタズラのようだ。俺はイタズラで笑える気分じゃなかった。 むしろ、怒っていた。ドライバーは俺が喜んでくれなかったのが 相当ショックだったらしく、落ち込みながら運転を再開させた。