> 2005/05/07 (土) 02:01:30 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> 河上彦斎というのは幕末の暗殺常習者のなかでもめずらしく教養のあるほうだったが、
> しかし無口な男で議論が得意でない。仲間のあつまりに出席しても、すみでだまって
> 一座の議論をきいている。やがて一座のたれかが、「ちかごろ、たれそれは幕府のたれか
> と通じているのではないか」というと、河上はすっと立ちあがる。一座のたれも気づかない。
> やがて座にもどってきたときは、その話題の人物の首をさげている、
> といったぐあいの男だったらしい。
言いようのない気味悪さと、愚かさを感じるが、しかし愚かであることが、
この種の志士的暗殺者の共通の資質なのである。かれらは胸中に政治的狂信を蔵しても、
それを他の者のように言語や政治行動で表現する能力をもっていない。
さらには郷国を飛びだして志士のむれに入ったからには、自己を顕示してみたいであろう。
しかも仲間から有能のあつかいをうけていない。そういう鬱屈がある。
この男のとりうる自己表現、もしくは政治的表現が、暗殺である。
かれらにとって殺人行為が、政見演説なのである。
参考:2005/05/07(土)01時54分55秒