2006/09/24 (日) 18:26:41        [qwerty]
ある病室に2人の末期ガンの患者が入院していた。 一人は窓側のベッド、もう一人はドア側のベッド。 
2人とも寝たきりの状態だったが、窓際のベッドの男は、ドア側のベッドの男に窓の外の様子を話してあげていた。 
「今日は雲一つない青空だ。」「桜の花がさいたよ。」「ツバメが巣を作ったんだ。」 
そんな会話のおかげで、死を間近に控えながらも2人は穏やかに過ごしていた。 
ある晩、窓際のベッドの男の様態が急変した。自分でナースコールも出来ないようだ。 
ドア側の男はナースコールに手を伸ばした。……が、直前になってボタンを押す手をとめた。 
「もしあいつが死んだら、自分が窓からの景色を直接見れる……」 
どうせお互い先のない命、少しでも安らかな時をすごしたいと思ったドア側のベッドの男は、 
自分は眠っていたということにして、窓側のベッドの男を見殺しにした。 
そして窓側のベッドの男は、その晩、そのまま死亡した。

翌日、ドア側のベッドの男はいよいよ窓側のベッドへ移ることになった。
男は、看護婦に抱きかかえられてカーテンのそばに横になる。
期待に胸がうちふるえた。
そこから見える外の景色、これこそ彼が求めているものだった。
そこから見えたもの、カーテンの向こうは、






ただの薄汚れたコンクリートの壁だった。

少し違うな