私は幼稚園の頃まで、母親が出掛けると、父親にたまに女の人の家に連れられていった。 母親よりも髪が長い人で、声が綺麗だった。 そこで甘いジュースやおまんじゅうが食べられて嬉しかったのに、なぜか母親に報告した 記憶がない。父親は彼女を「おかなさん」と呼んでいて、いつしか私は「この人はお父さんの 本当の奥さんなんじゃないだろうか」と思い始めた。 でも、父と母、私の家族を壊したくなくて、悶々と悩んでた6歳児。 それからぷっつり途絶えたが、小学校5年の時、祖父の葬式におかなさんがいた。 父親の妹だった。 恐る恐る母親に、父と私がおかなさんの家に行ってたことを知ってたかどうか聞くと、 「え? 知ってたけど」とそっけない返事。 みんなで私を騙しやがって!とその夜枕を殴って泣いた