むろん機動隊にも、学生たちを憎む理由など無かったのである。 学生と、前線に立つ機動隊員に、年齢的に大きな差は無い。 身分抜きに、街中に立てば同じようなファッションを身に着け 好む音楽の傾向も似通っていた。にもかかわらず、集団心理から 暴徒と化した学生のデモ隊は、機動隊との衝突をくり返す。 やがて機動隊の側にも憎悪が生まれる。投石や火炎ビンで失明したり 重傷を負う隊員が増える一方だからだ。仲間を傷つけられれば 当然、憤りも覚える。それが年齢も近く、片方は学生という身分での "お遊び"で、片方は職務として対時するとなれば尚更である。