「ジジ…。あたし、来てくれないと…、涙がでちゃうよ。」 「あっ!」 「アニキ!」 「鈴。これからは、ジジの代わりに、僕が鈴をみてやるからな。」 アニキは、あたしがこうして待ってるわけを、まるで知らないみたいに、笑ってくれる。 「えへっ。今日はね、ちょーっと特別な研究の、資金援助をしてもらおうかと思って、アニキが来るのを見張ってたんだぁ。」 「ひひっ。あははっ。」 あたしは、アニキが逃げない内に、せかして、ラボへと連れ込んじゃった。 そしてね、聞こえないくらい小さな声で、これだけは言ったのよ。 「アニキ、来てくれてありがとね。」 アニキ、聞こえたかな。