結婚の形態は歴史的に、また文化的にきわめて多様で、従来こころみられてき た多くの定義はいずれも不完全であった。夫は男性で妻は女性、ということす ら確固としたものではなく、たとえばケニアのナンディ族では、夫をなくした 女性が、次は夫として別の女性を妻にむかえる女性婚がおこなわれ、アメリカ では同性愛者の結婚がひろがっている。性的関係をもたない結婚もある。逆に 性的関係だけで、家族としてともにくらすことのない場合もある。そのほかの 結婚の要素は文化による違いがいっそう大きく、一般化は困難である。結婚 は、ひとつの社会的実践として、それぞれの社会の目的、性格、慣習を反映し ているからである。