2007/03/22 (木) 18:08:41        [qwerty]
 先日、孫の見ていたビデオを何気なく一緒に見ていると意外な言葉に耳をはたと疑いました。
その言葉とは『翠星石 蒼星石(其其 すいせいせき そうせいせき と読むようです)』であります。
見目が西洋人形の如き容姿の可愛らしい二人の少女の名前のようですが、
名前の読みと『石』の字からして錦屏山瑞泉寺と夢窓国師を意識しているのは明白でしょう。
思わず、「殊勝なまんがだなあ」と感嘆の声を漏らすと、孫に「おじじも庭師の可愛さがわかるの?」と言われました。
うすうす察してはいたのですが、なして庭師という言葉が出てきたか尋ねると、
なんとこの『翠星石』と『蒼星石』は双子で且つ二人とも庭師だというのです。
畜生腹などというものがいかに下らぬ迷信に過ぎないということがよく判ります。
其れにつけても庭園の設計でも高名な夢窓国師の御名、そして夢窓国師を開山とし、
お造りになった庭園がある瑞泉寺の御名をかくも無理なく織り込むとは…。
さすが仏教国であり、まんが大国ともいわれる日本だけあって深慮ある信心に満ちた設定だと感心させられました。
この国には御仏の光明があまねく行きわたることでしょう。
 思わず胸が踊り、孫に鎌倉まで瑞泉寺の参拝を持ちかけると、
「どうせだし秋葉にも連れてってよ」と言われ(遠州秋葉寺のことでしょう)やんわりと断りをいれると、
「おじじがあんまりよく思わないのもわかるけど、あそこには僕に無い視野の人や物が沢山あるから、道を究めるには不可欠なのだよ」と返され、思わず唸らされてしまいました。
孫の仏道に一途な心に胸打たれつつも、このまんがの名前を尋ねたところ、またしても私は歓心を得ました。
『臘禅明伝』というらしいのです。こんなにも素晴しいまんががあるものなのかと感激していると、
心が顔に出ていたか孫に「おじじ何だかご機嫌だね。『日本始まったな』って感じなのだよ。ほうじ茶でも淹れるよ」と言われてしまいました。
孫は一人前の僧になれそうです。これも夢窓国師のお導きでしょうか。かほどの身に余る一期の大福を得るとは、私は幸せ者です。
このような幸福を少しでも多くの衆生が感じられるよう、さらなる精進を積んで練思を重ねたく思います。
63歳 僧職