2007/04/28 (土) 01:16:44 ◆ ▼ ◇ [qwerty]えぴろーぐ
楽しい時間は、あっという間に過ぎた。
チャイムの音が聞こえると、団長の声のもと一斉に俺たちは学校を出た。
・・・誰かに泥棒と間違われていないことを切に願う。
当初の予定通り、市内探索を行うことになった。
久しぶりだな、この感覚。1人で出歩くことはあるが、団員みんなで回るのはやっぱり楽しい。
そういえば、学校前の坂を全員で下ったことはあんまりなかったな。
「さぁて、ひっさしぶりの探索だから、相手も油断しているでしょうね!チャンスだわ!」
ハルヒは先頭をいつもの大股歩きで邁進している。元気な奴だ、全く。
さらに「本日の予定を説明するわよぉ!」
と高々に声を張りあげ、気の遠くなるようなハードスケジュールを宣言した。
おいおい、喫茶店や図書館、公園はともかく阪中の家って完全に逆方向じゃねーか。
「大丈夫よ!もう阪中さんには連絡しておいて、快い返事をもらったわっ♪」
いや、そういうことじゃなくてな・・・。まぁいいか、ルソーは元気にしてるんだろうかな。
ハルヒの言う場所の1箇所1箇所がそれぞれ思い出の1ページのようで、思わず顔が緩む。
全ての箇所を回り終えたころ、すでに時計の針は9時を過ぎていた。
まだ4月も上旬ということもあってか、夜になると横風が冷たい。
もうちょっと着込んでこればよかったかな、とも思うが、そもそも家を出る時にはこんなことは想定してなかったな。
「今日は楽しかったわねー!やっぱSOS団はこうでなくちゃ!」
ハルヒの顔が今日一番の満面の笑みになっている。ああ、俺も楽しかったさ。
で、いつまでその白ひげを付けてるつもりだ?
「んなっ、ちょっとぉ・・・!あんたもっと早く教えなさいよねっ!」
そういってハルヒは恥ずかしそうな顔をしながら、
口元についているシュークリームの残りカスをぺろんと舐めた。
駅に着いた俺たちは、名残惜しい感情を隠しきれないような顔でそれぞれ別れを告げた。
朝比奈さんは大きく手を振りながら改札の向こうへ、古泉はニコニコしながら駐輪所へ、
長門はそのまま自宅の方角へとテクテク歩いていき、ハルヒは「じゃあねー♪」と言ってみんなを見回す。
「んじゃあな。」と俺は軽く手をあげ、振り返って歩き出した。
5分くらい歩いただろうか。路地を抜けて公園の前を通りかかったとき、
後ろから誰かが俺の服をつまんでいるのが分かった。
そこにいたのは、
さっき駅前で別れを告げたばかりの、
ハルヒだった。