昭和の頃は コンヴィニなんてなかった 夜9時を過ぎると商店街のお店は 閉まってしまい 街灯がぽつんぽつんとともり 新聞紙がどこからともなく 吹かれて脚にまとわりつき 野犬の叫ぶ声を遠くに聞いて暗い空を見上げていた 昼とはまったく違う顔の街を観て なんとなく大人のスリルを感じながら おいしいなんて思ったこともないタバコに火をつけて 自販機で買った サントリー・レッドをスタジャンのポッケに隠して すぐそこで待つ友達の 自転車の後ろに飛び乗った土曜日の夜だった