2007/05/25 (金) 16:55:13        [qwerty]
「Salut!Anchantee!!」
差し出した手を
嗚呼 可愛い私のお姫様 小さな指で握り返してくる
あなたの歩む道程が 
輝くように星と

ある雨の朝 いつものように少女が目を覚ますと
寝具の横には優しい父親 そして大きな黒い犬が居た
雨の匂い くすぐったい頬 どこか懐かしい温もり
小さな姉と大きな妹 二人と一匹 家族となった特別な朝

嗚呼 私は星を知らない 遠過ぎる光は届かないから
嗚呼 僅かな視力さえも 何れ失うと告げられている

Excuse-moi,ma mere ce nom...
(ごめんなさいお母さん、この名前…)
Je ne peux pas aimer absolument de lumiere
(どうしても好きになんてなれないよ)
Excusez-moi……
(嗚呼 ごめんなさい……)

勇気を出して
嗚呼 Pleutと屋外へ出たけど 歩く速度がそもそも違うから
嗚呼 暗闇に沈む世界では ちょっとした段差でも転んでしまう

Excuse-moi,mon pere ce oeil...
(ごめんなさいお父さん、この両眼…)
Je ne peux pas aimer absolument de lumiere
(どうしても好きになんてなれないよ)
Excusez-moi……
(嗚呼 ごめんなさい……)

細い革紐じゃ
心までは繋げないよ 愛犬が傍に居たけど 私は孤独だった



別々に育った者が 解り合うのは難しい
ましてや人と犬の間であれば尚更の事である
それからの二人は 何をするにも何時も一緒だった
まるで空白の時間を埋めようとするかのように
姉は甲斐甲斐しく妹の世話を焼き 妹は姉を助けよく従った
父の不自由な腕の代わりになろうと 何事も懸命に
其れは 雨水が大地に染み込むようにしなやかに
根雪の下で春を待つように 小さな花を咲かせるように



急に吹いた突風に手を取られ 革紐を離したけど
もう何も怖くなかった 「星屑の羽根」で繋がっていたから

弱い姉だ
それでも嗚呼 ありがとうね 妹が傍にいたから
私は何処へだって往けた
大好きだよ 妹が傍にいたから 私は強くなれた

星空に抱かれて夢を見た あなたが産まれてきた朝の追憶を
銀色に輝く夢の中 零れた砂が巻き戻る幻想を
嗚呼 何の為に遣って来たのか 最期に判って良かった

忘れないよ 君と歩いた 暗闇に煌めく世界を
いつだって嗚呼 人生は星屑の輝きの中に在ることを

祈りの星が降り注ぐ夜 黒犬は静かに息を引き取った
悼みの雨が降り注ぐ朝 冷たくなった彼女の腹から取り出されたのは
光を抱いた小さな温もり 黒銀の毛並みを持つ仔犬だった

そして物語の翼は地平線を軽々と飛び越えるだろう
やがて懐かしくも 美しき あの荒野を駆け廻る為に