2007/06/26 (火) 02:52:13 ◆ ▼ ◇ [qwerty]ガチャガチャ ガチャンガチャ!ドチャンガシャ!ガシャッ!!
「ああ… そんなとこで… 何してんだい?おまわりさん」
「食事中すまないね…今捜査中でね…『指紋』を探している。昨夜向かい側の歩道で強盗があってね。
被害者はビンで殴られたんだ。割れて飛び散ってね… でも歩道には破片が全部そろってない。」
「参考までに聞きたいんだが… もし見つからなかったらどうするんだい?『指紋』なんて取れないかも…
いや… それよりも見つけたとして、犯人がずる賢い弁護士とかつけて無罪になったとしたら…。
あんたはどう思って…そんな苦労をしょいこんでいるんだ?」
「そうだな…私は『結果』だけを求めてはいない。『結果』だけを求めていると人は近道をしたがるものだ…
近道をした時、真実を見失うかもしれない。やる気も次第に失せていく。
大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。向かおうとする意志さえあれば、
たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう?向かっているわけだからな…違うかい?」
「以前、オレは… 警官になりたいと思っていた… 子供のころから… ずっと、りっぱな警官に… なりたかったんだ…
かつてあんたのような『意志』をいだいていた事もあった…でも、だめにしちまった… オレって人間はな…
くだらない男さ、なんだって途中で終わっちまう。いつだって途中でだめになっちまう…」
「そんな事は無いよ…アバッキオ… おまえは、りっぱにやってるじゃあないか…
『意思』は同じだ…お前が警官になったばかりの時、いだいていたその『意思』は…
今…お前のその心の中に再び戻っているのだよ…アバッキオ」
「あ… あんたは…!!そうだ!!あんたはッ!!あんたはオレがワイロを受け取ったせいで、撃たれて殉職した…!!」
「アバッキオ、おまえはりっぱにやったのだよ…。そう…わたしが誇りに思うくらいりっぱにね…。
そして真実に『向かおうとする意志』は、あとの者たちが感じとってくれているさ。大切なのは… そこなんだからな…」