>  2007/06/28 (木) 00:22:41        [qwerty]
> コマ送りで見たけどやっぱり動画5枚じゃないな(;´Д`)
> http://misao.kir.jp/cgi-bin/stored/misao000960.mpg

上がった動きはたしか一歩6枚のリピートでした。それを見せられた僕は、
その動きを1枚抜いて一歩5枚のリピートにしてこれで行きたいと言ったんだっけ。
それからが長かった。僕は空中ポーズで惰性で動く時間が長いと疲れている印象に見える、
この少年の内側から湧きだしてくる力感を大事にするために一枚抜きたいと言ったのでした。
それに対して田辺君は、一枚抜くと動きが軽くなってペラペラな印象になり、観客に伝わらない。
走りが記号的になって、「動き」を観客に感じてもらえなくなるのではないか、と言うのです。

内面のリアリティ重視の僕と、目に見えるリアリティ重視の田辺君のこの対立は、
同じリアルでも現実主義と自然主義という表現上の信条の違いなのではないか?
などと難しく言ってみても効き目はありません。
そして僕は、この「『動き』が観客に伝わらなくなる」という言葉にしこたま弱い。
彼を前にしての僕のアニメーターとしての自信の問題もありました。
時間があれば、一枚減らして5枚のサイクルで、ペラペラでない動きを描ける、と負け惜しみまで出て、
議論は二日にまたがり(ずっと議論してたわけではないですよ)、結局僕が折れました。
かわりに、彼に描いてもらおうと思っていた他のカットを僕が自分でやり、
そっちは自分で見てもほんとにペラペラな軽い動きになっちゃった。(どのカットかはご勘弁)

ああ!田辺君、田辺君、田辺君・・・! 君は常に自分自身であり続けることにかけては天才だ。このウシロの走りは、
ちょっとだけ細かいところの調整を頼んだだけで、田辺君が描いた動きそのままに完成したのです。
このカット、清水君だけでなく、ゴンゾの若いアニメーターたちに絶賛されて、大いに面白がられたことは、言うまでもありません。

参考:2007/06/28(木)00時16分22秒