昨春、生まれ育った兵庫から駒大苫小牧の門をたたいた。 部員97人中、同じ兵庫出身の山口とたった2人だけの野球留学生。 4人部屋での合宿所生活はスタートした。入寮から2カ月ほどたった深夜。 同部屋の同級生・月舘直也のベッドへ、無言で「侵入」してくる大男がいた。 田中だった。会話がなくとも通じ合った。「ホームシックなんだなと思って、 そっとしておきました」(月舘)。 田中は朝にはこっそりと、ベッドを抜け出していた。野球以外との闘いも乗り越え、つかんだ栄冠だった。