ここに於てか我日本の士人(しじん)は国を重しとし政府を軽しとするの大義に 基き、また幸(さいわい)に帝室の神聖尊厳に依頼して、断じて旧政府を倒して 新政府を立て、国中(こくちゅう)朝野(ちょうや)の別なく一切万事、西洋近時 の文明を採り、独(ひと)り日本の旧套を脱したるのみならず、亜細亜(あじあ) 全洲の中に在て新(あらた)に一機軸を出し、主義とする所はただ脱亜の二字に 在るのみ。 我日本の国土は亜細亜の東辺に在りといえども、その国民の精神は既(すで) に亜細亜の固陋(ころう)を脱して西洋の文明に移りたり。然(しか)るにここに 不幸なるは近隣に国あり、一を支那と云い、一を朝鮮と云う。